建築機械設備の施工図における寸法線の記入方法は基準があいまいで、十人十色という感じがいたします。
逆に建築図(平詳・躯体図・天伏図など)は基準があって、どこのゼネコンでもほとんど同じ出来上がりになります。
そこで今回は建築機械設備で見やすい寸法線とはどういうことなのかを書いてみたいと思います。
このページ下部の方に実際に寸法記入作図例があります。
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目次
寸法記入の留意すべき点
寸法記入は以下のことに留意する必要があります。
・必要な寸法を記入する
・見やすい位置に寸法を配置する
・合算寸法を入れて計算ミスを防ぐ
・キリの良くない寸法は寸法を細分化させる
・両方の通り芯から寸法を追えるようにする
などが考えられます。
細かく見ていきます。
必要な寸法を記入する
そんなの当たり前というかもしれませんが不要な寸法をとっている図面が散見されます。
よくあるのが空調施工図で機器・制気口などの寸法を記入している場合があります。
天井面に出てくるものの寸法は、天伏図にまとめなければなりませんが施工図に寸法があると、間違った位置に吊ったりします。
一般的には器具や天井カセット型の空調機器類は天伏図により地墨を出し、吊り込み高さなどは施工図に記入するとよいでしょう。
あとは寸法を通り芯間からではなく、壁芯からというのも見かけます。
これは現場で実際にやってみれば分かりますが、そのような寸法では位置を確定できません。
ただ、壁芯寸法が通り芯から何mmかわかるようにすればできなくはないですが、壁芯は位置が移動することがあります。
これらの点から通り芯以外からの寸法はあまりおすすめできませんので、原則として通り芯から寸法記入をするようにしましょう。
見やすい位置に寸法を配置する
建築図ではスペースやレイアウトに一定の法則があるためパターン化できますが、機械設備図ではスキマを見つけながら寸法線を記入するようになります。
一般的には建築図の外周部に寸法線を記入しますが、それでも足りない場合はスキマを利用しながらとなります。
そこが個性の出るところで、見やすい図面と見づらい図面を隔てる大きなポイントとなります。
できるだけ画面を縮小して、寸法をどこに記入するべきか考えるとよいでしょう。
合算寸法を入れて計算ミスを防ぐ
これを行っている人は10人に1人もいないですが、推奨します。
自分で描いた図面で現場に行き施工すれば分かりますが、寸法が羅列されていると電卓がなければその位置を確定できません。
そうすると非常に効率が悪く、計算ミスも起こりやすく施工不良の原因にもなります。
特に気をつけるべき図面としてインサート図、混雑しているスリーブ図、天伏図が挙げられます。
これらの図面では適宜合算寸法を入れて、合算寸法+1~2項目の暗算で答えが出せるようにしておくといいでしょう。
④キリの良くない寸法は寸法を細分化させる
これを行っている人は10人に1人もいないですが、推奨します。
あなたが現場に行って、以下の数字を暗算することを想像してください。
現場なので騒音や大きな話し声もあり、照明が暗い状況です。
483、350、600、468、1435、150,150
これらの数字を計算しないと仕事をするための通り芯からの位置を出せないと考えたら、大変だと思いませんか。
このような時はキリのいい数字(せいぜい25ピッチがミニマム、できれば50)以外のところは、個別に寸法を記入してみる人に分かりやすくする必要があります。
両方の通り芯から寸法を追えるようにする
現場に行くと資材があって、図面で記入されている方向からでは施工できない場合があります。
そういうことはとてもよくあることなので、足し算や引き算をしなくても、両方から寸法を追えるようにしましょう。
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寸法記入例
サンプルとして上の図のX4~X5、Y7~Y9について寸法記入していきます。
わたしは最初に図面領域内の端から端までの寸法を用意しておき、必要なところにコピーするようにしています。
上の赤矢印のところにコピーしました。
それから現場で必要な寸法を分割・合算機能を使い記入していきます。
先ほど書いたとおり、機器・制気口・点検口には寸法を記入しません。
赤矢印の寸法は現場で寸法追いがしやすくなります。
青矢印はFCUへの冷温水配管の分岐寸法ですが、FCUからの配管接続方法をパターン化すると通り芯からキリのいい寸法で納めることはできなくなります。
したがって、キリのいい寸法にはならない寸法をさらに細分化することにより現場でミスが減ることでしょう。
このようなことを考えながら、寸法を記入できればきっとあなたの仕事は評価されスキルアップにつながることでしょう。
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